夜風にさらわれたお姫様

昼過ぎ。


煌夜は依吹たちと会議へ向かっていた。

榴愛は縁側でぼんやり庭を見つめる。

その隣へ燈香が座った。

「悩んでる?」

優しい声。

榴愛は少し笑った。

「顔に出てました?」

「少しね」

燈香は穏やかに微笑む。

「煌夜のこと?」

「……はい」

「怖い?」

榴愛は少し考えた。


「怖いです」


裏社会も。
抗争も。
煌夜が傷付く未来も。

全部怖い。


「でも」

榴愛は小さく笑う。

「好きなんです」

燈香の目が柔らかくなる。

「ふふ、ちゃんと恋してる顔」

「っ……」

「煌夜、昔はあんな風に笑わなかったのよ」

榴愛は驚いた。

「そうなんですか?」

「えぇ」

燈香は庭を見つめる。

「ずっと一人で背負い込む子だったから」

その言葉に胸が締め付けられる。

煌夜はいつも強い。

でも本当は、ずっと一人だったのかもしれない。

「だからね」

燈香が榴愛を見る。

「傍にいてあげて」

榴愛は静かに頷いた。


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