夜風にさらわれたお姫様

昼過ぎ。


榴愛は心桜とPC室にいた。

大量のモニターが並ぶ部屋。

「すご……」

画面には夜坂街の地図が表示されている。

「これ全部監視?」

「うん」

心桜はキーボードを叩きながら答える。

「裏の人間は情報戦命だからね」

榴愛はモニターを見つめた。

赤い点がいくつも動いている。

「これが黒崎組?」

「そ」

「……多い」

「だから厄介」


心桜の顔が少し真剣になる。

「榴愛」

「?」

「もし本当に牙戦始まったら、絶対一人で動かないで」

榴愛は静かに頷いた。


その時。

ガチャ。

扉が開く。

「煌夜」

「ん」

煌夜が入ってきた。

黒コート姿。

どこか張り詰めている。


「出るの?」

榴愛が聞くと、煌夜は少しだけ笑った。

「あぁ」

「……危ない?」

「まぁな」

簡単に言う。


でも榴愛には分かる。


危険なんだ。


煌夜は榴愛の前へ来る。

「そんな顔すんな」

「でも……」

「帰ってくる」

その言葉を信じたい。

榴愛は小さく頷いた。


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