夜風にさらわれたお姫様
攫われてしまったお姫様
嫌な予感は、朝からあった。
空が妙に暗い。
風が冷たい。
屋敷の空気もどこか張り詰めている。
広間では依吹がモニターを睨んでいた。
「……動きがおかしい」
「黒崎か?」
煌夜が低く聞く。
依吹は静かに頷いた。
「昨夜から各区画で組員の配置が変わっています」
「……牙戦前か」
駿が舌打ちする。
榴愛はその会話を聞きながら、無意識に指先を握っていた。
怖い。
最近ずっと、この感覚が消えない。
すると。
ぽん。
煌夜が榴愛の頭へ手を置く。
「考えすぎ」
「……顔に出てた?」
「出まくり」
少しだけ笑う。
その優しさに安心しかけた時だった。