夜風にさらわれたお姫様
「――見つけた」
低い声。
二人が振り返る。
そこには黒服の男たちが立っていた。
榴愛の背筋が凍る。
黒崎組。
心桜の顔色が変わった。
「榴愛、走って!!」
「っ!」
その瞬間、男たちが動く。
榴愛は咄嗟に走った。
心臓がうるさい。
怖い。
後ろから足音が迫る。
「捕まえろ!」
怒鳴り声。
その時。
ぐいっ。
「きゃっ!?」
腕を掴まれた。
「離して!!」
「暴れんな」
力が強い。
怖い。
涙が滲む。
心桜が男を蹴り飛ばす。
「榴愛!!」
しかし別の男が心桜を押さえ込んだ。
「みお!!」
榴愛が叫ぶ。
その隙だった。
背後から布が口元へ押し当てられる。
「っ……!」
甘い匂い。
視界が揺れる。
意識が遠のく。
最後に見えたのは。
必死な心桜の顔だった。