夜風にさらわれたお姫様

しかし。


「感動の再会中悪いけど」

竜人が笑う。


空気が変わる。


煌夜がゆっくり振り返った。

その目は冷たい。

「……竜人」

「怖ぇ顔」

「榴愛に触った時点で終わってる」


殺気。

空気が震える。

榴愛は思わず煌夜の服を掴む。

煌夜は榴愛を背へ庇った。

竜人はその様子を見て笑う。

「ほんと過保護」

「黙れ」

「お前変わったな、煌夜」


数秒。

二人が睨み合う。

まるで獣同士。


竜人が小さく息を吐いた。

「……まぁ今日はここまででいい」

「は?」

「牙戦は始まったばっかだ」

その言葉に嫌な予感が走る。

竜人は踵を返す。

「次は必ず奪う」

「やれるもんならやってみろ」

竜人は少し笑い、そのまま去っていった。


< 84 / 120 >

この作品をシェア

pagetop