夜風にさらわれたお姫様

守りたいもの


「……他組織も動いてる?」


白鴉組本部邸へ戻ったあと。

広間の空気は重かった。

依吹がモニターを操作しながら頷く。

「はい。黒崎組だけじゃありません」


夜坂街の地図。

そこにはいくつもの赤い印が表示されていた。

「……最悪だな」

駿が低く呟く。

榴愛はその地図を見ながら息を呑んだ。

こんなに多くの組織が動いている。


本当に戦争みたいだ。


すると。

ぐい。

「きゃっ」

煌夜が榴愛を自分の隣へ引き寄せた。

「考えすぎ」

「……でも」

「今は無事戻れた」

低い声。

その言葉に少しだけ安心する。

煌夜も疲れているはずなのに、ずっと榴愛を離そうとしない。

まるで確認するみたいに。


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