私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
上野動物園。

何年ぶりに来ただろうか。

夏に動物園はダメだったかな……

そう私が後悔しかけていた時だった。

急に悠真の目の色が変わった。

これは、まずいかもしれない!

悠真が走り出す。

気づくのが遅かった。

「ちょっ」

速い、速いって!

運動不足の26歳にはきつい……

私が息を切らしていると、

「千紘、あの鹿、なかなか肥えていて、うまそうだ」

悠真はそう楽しそうに言った。

は?何言ってんだこいつ。

「それに、あそこの鳥は、大きく、弓でいるには、
最高の獲物だな」

もうダメだ。

古墳時代の人とは感覚が違いすぎる。

私は、そう諦めることにした。

それに、悠真の目が生き生きしているのを見ると、
それだけで十分だった。

「動物園とはすごい場所であった!」

悠真は満足そうに言った。

「それに、どの動物をどのように狩るのかを考えるのも楽しかったな」

そう言って深くうなずく。

「違う違う違う」

私は慌てて首を振った。

「動物園は動物を見て楽しむ場所だから」

「見て楽しむ……?」

「狩らないの!」

「なぜだ?」

「なぜって……」

私は頭を抱えた。

古墳時代の皇子に、
動物園の理念を説明する日が来るとは思わなかった。
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