私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
次に私たちがやって来たのは、国立博物館。
ここでは、様々な歴史を知ることができる。
それに、私も、悠真の住んでいた時代について、
少しでも知りたいと思っていたから。
「ここには、変わったものがたくさんあるな」
そう言って、ガラス越しに、
展示物を見ている悠真。
「ガラスには触れないでください」
学芸員の人に注意されている。
「ガラスとはなんだ?」
「え、あ、ガラスっていうのはーー」
「あ、すみません。ちょっと日本に慣れてなくて」
私は学芸員さんから、悠真を引き離す。
「恥かかせないでよね」
でも、心のどこかで、二人のやりとりを、
面白がっている自分がいた。
古代のコーナーにやって来た時、
悠真の足がピタッと止まる。
「どうしたの?」
私の問いに、悠真は
「この先には、進まない方がいい気がするのだ」
そう、真剣な眼差しで言った。
「どうする?」
正直、私は悠真の生きていた時代のことを、
少しは知っておきたいと思っていた。
「千紘は行きたいか?」
突然、目の前に、悠真の顔が現れ、
思わず後退りしてしまった。
「悠真の生きていた、時代について知りたいとは思う」
素直な気持ちを、悠真に伝える。
「でも、悠真が嫌な気持ちになるなら行かない」
その言葉を聞いて、
悠真は少し驚いた表情をしたが
「わかった。行こう」
そう言うと、
ゆっくりと展示室に入って行った。
そこには、たくさんの装飾品や銅鏡。
土偶や埴輪。
様々なものが展示されていた。
私は惹きつけられるように、
一つ一つ丁寧に見ていった。
ふと、悠真を見ると、
何かの展示ケースの前で立ち止まっていた。
「どうしたの?」
そう聞いてみる。
「これは……」
悠真が指差していたもの。
「それは……勾玉?」
「そうだ!こんなに立派なものもあるのだな!」
悠真が必死に指差している展示ケースの中には、
一つの勾玉が置かれていた。
淡い緑色の石は、
長い年月を経ているとは思えないほど美しく、
照明を受けて静かに輝いている。
まるで閉じ込められた月明かりが、
石の中で揺れているようだった。
悠真は宝石の山でも見ているかのように、
目を輝かせている。
「綺麗だね」
なぜだろう。
悠真の気持ちがわかる気がした。
そして、懐かしささえもーー
「あやつに贈ってやりたい」
突然の悠真の言葉。
なぜか、純粋なその言葉に、
胸が締め付けられる。
あやつとは、きっと「軽大娘皇女」のことだろう。
勾玉を見つめる悠真の瞳は、
愛する人を想う、
男の瞳に変わっていた。
この時の私には、
その胸の痛みが何者なのか、
理解することができなかった。
胸の痛みを隠すように、
愛する人を想う彼から、そっと離れる。
その後、私は悠真から距離を置き、
他の展示物を見ていた。
お互い同じ場所にいるのに、
なぜか悠真だけ、遠い場所にいるようで、
ここに来たことを少し後悔した。
ここでは、様々な歴史を知ることができる。
それに、私も、悠真の住んでいた時代について、
少しでも知りたいと思っていたから。
「ここには、変わったものがたくさんあるな」
そう言って、ガラス越しに、
展示物を見ている悠真。
「ガラスには触れないでください」
学芸員の人に注意されている。
「ガラスとはなんだ?」
「え、あ、ガラスっていうのはーー」
「あ、すみません。ちょっと日本に慣れてなくて」
私は学芸員さんから、悠真を引き離す。
「恥かかせないでよね」
でも、心のどこかで、二人のやりとりを、
面白がっている自分がいた。
古代のコーナーにやって来た時、
悠真の足がピタッと止まる。
「どうしたの?」
私の問いに、悠真は
「この先には、進まない方がいい気がするのだ」
そう、真剣な眼差しで言った。
「どうする?」
正直、私は悠真の生きていた時代のことを、
少しは知っておきたいと思っていた。
「千紘は行きたいか?」
突然、目の前に、悠真の顔が現れ、
思わず後退りしてしまった。
「悠真の生きていた、時代について知りたいとは思う」
素直な気持ちを、悠真に伝える。
「でも、悠真が嫌な気持ちになるなら行かない」
その言葉を聞いて、
悠真は少し驚いた表情をしたが
「わかった。行こう」
そう言うと、
ゆっくりと展示室に入って行った。
そこには、たくさんの装飾品や銅鏡。
土偶や埴輪。
様々なものが展示されていた。
私は惹きつけられるように、
一つ一つ丁寧に見ていった。
ふと、悠真を見ると、
何かの展示ケースの前で立ち止まっていた。
「どうしたの?」
そう聞いてみる。
「これは……」
悠真が指差していたもの。
「それは……勾玉?」
「そうだ!こんなに立派なものもあるのだな!」
悠真が必死に指差している展示ケースの中には、
一つの勾玉が置かれていた。
淡い緑色の石は、
長い年月を経ているとは思えないほど美しく、
照明を受けて静かに輝いている。
まるで閉じ込められた月明かりが、
石の中で揺れているようだった。
悠真は宝石の山でも見ているかのように、
目を輝かせている。
「綺麗だね」
なぜだろう。
悠真の気持ちがわかる気がした。
そして、懐かしささえもーー
「あやつに贈ってやりたい」
突然の悠真の言葉。
なぜか、純粋なその言葉に、
胸が締め付けられる。
あやつとは、きっと「軽大娘皇女」のことだろう。
勾玉を見つめる悠真の瞳は、
愛する人を想う、
男の瞳に変わっていた。
この時の私には、
その胸の痛みが何者なのか、
理解することができなかった。
胸の痛みを隠すように、
愛する人を想う彼から、そっと離れる。
その後、私は悠真から距離を置き、
他の展示物を見ていた。
お互い同じ場所にいるのに、
なぜか悠真だけ、遠い場所にいるようで、
ここに来たことを少し後悔した。