私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
私は胸の痛みを引きずりながら、
国立博物館を後にした。
「どうした、千紘?」
私の様子がおかしいと感じたのか、
悠真は心配そうに私を見つめていた。
「ううん。なんでもないよ」
平気なフリ。
「そうか……」
なぜだろう。
そんな私の心を、
悠真に見透かされているような気がした。
「あそこのカフェ、入ろうか」
私はあえて明るく、言う。
「ああ」
そうして私たちは、公園の近くにある、
カフェに入った。
「アイスコーヒー一つと、キッズミルク一つで」
その注文内容に、少し戸惑いながらも、
店員さんは去って行った。
まぁ、大の大人が二人でいるのに、
キッズミルクを注文しているのだから、
無理はないだろう。
かといって、古墳時代の人物に、
いきなり強烈なカフェインを与えるわけには、
いかなかった。
静かな時間。
私たちは喋らず、
ただ周りの雑談が聞こえてくるだけ。
「お待たせしました。アイスコーヒーと……」
「はい」
「ミルク……」
「我だ」
「……です」
「ありがとう」
「注文は以上でお間違えないでしょうか?」
「はい」
「し、失礼します」
店員さんは急いで、ドリンクを置くと、
早足でどこかへ行ってしまった。
戸惑い隠しきれなさすぎでしょ。
心の中で、そう呟く。
「博物館、どうだった……?」
話題もなく、
静かなのも気まずいので、
無理矢理話題を振る。
この質問じゃない方が良かったかな……
なんて思っていると、
「素晴らしき所であった!」
と興奮冷めあらぬ子供のように、
悠真は国立博物館の展示について語り始めた。
え、何?
そんなに、がまんしてたの?
そこからの、
悠真の話は凄まじかった。
とにかく、展示物の中に、
自分の兄弟に関することが書いてある書物が、
あったらしい。
簡単に言うと、兄が「安康天皇」と言う人。
悠真いわく、
「兄上ーー穴穂皇子は、穏やかな方であった」
「兄上が帝となることに異論はなかった」
とのこと。
しかし、
「かつては我も帝になるものと思っていた」
と、少し複雑な感情も持っているようだった。
弟である「大泊瀬幼武皇子(雄略天皇)」が、
帝になっていたと言うのは驚きだったらしい。
理由は「幼武は気性が激しかった」からだとか。
歴史に詳しくない私からしたら、
なんのことか、さっぱりわからなかった。
しかし、歴史好きの美緒に聞いてみると、
「雄略天皇」という人は、非常に強権な天皇として、
歴史好き界隈では有名らしい。
まぁ、なんにしろ、
悠真は予想以上に楽しんでいたようで良かった。
国立博物館を後にした。
「どうした、千紘?」
私の様子がおかしいと感じたのか、
悠真は心配そうに私を見つめていた。
「ううん。なんでもないよ」
平気なフリ。
「そうか……」
なぜだろう。
そんな私の心を、
悠真に見透かされているような気がした。
「あそこのカフェ、入ろうか」
私はあえて明るく、言う。
「ああ」
そうして私たちは、公園の近くにある、
カフェに入った。
「アイスコーヒー一つと、キッズミルク一つで」
その注文内容に、少し戸惑いながらも、
店員さんは去って行った。
まぁ、大の大人が二人でいるのに、
キッズミルクを注文しているのだから、
無理はないだろう。
かといって、古墳時代の人物に、
いきなり強烈なカフェインを与えるわけには、
いかなかった。
静かな時間。
私たちは喋らず、
ただ周りの雑談が聞こえてくるだけ。
「お待たせしました。アイスコーヒーと……」
「はい」
「ミルク……」
「我だ」
「……です」
「ありがとう」
「注文は以上でお間違えないでしょうか?」
「はい」
「し、失礼します」
店員さんは急いで、ドリンクを置くと、
早足でどこかへ行ってしまった。
戸惑い隠しきれなさすぎでしょ。
心の中で、そう呟く。
「博物館、どうだった……?」
話題もなく、
静かなのも気まずいので、
無理矢理話題を振る。
この質問じゃない方が良かったかな……
なんて思っていると、
「素晴らしき所であった!」
と興奮冷めあらぬ子供のように、
悠真は国立博物館の展示について語り始めた。
え、何?
そんなに、がまんしてたの?
そこからの、
悠真の話は凄まじかった。
とにかく、展示物の中に、
自分の兄弟に関することが書いてある書物が、
あったらしい。
簡単に言うと、兄が「安康天皇」と言う人。
悠真いわく、
「兄上ーー穴穂皇子は、穏やかな方であった」
「兄上が帝となることに異論はなかった」
とのこと。
しかし、
「かつては我も帝になるものと思っていた」
と、少し複雑な感情も持っているようだった。
弟である「大泊瀬幼武皇子(雄略天皇)」が、
帝になっていたと言うのは驚きだったらしい。
理由は「幼武は気性が激しかった」からだとか。
歴史に詳しくない私からしたら、
なんのことか、さっぱりわからなかった。
しかし、歴史好きの美緒に聞いてみると、
「雄略天皇」という人は、非常に強権な天皇として、
歴史好き界隈では有名らしい。
まぁ、なんにしろ、
悠真は予想以上に楽しんでいたようで良かった。