私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
第9話 皇子、心配する
月曜日。
また、今日から一週間がスタートか……。
新しいプロジェクトも始まって、
これからさらに忙しくなりそうだ。
自分の椅子に腰掛け、「ふぅ〜」と、
深呼吸をして、気合を入れようとしていた時だった。
「せんぱ〜い」
突然、結奈ちゃんがニヤニヤしながら、
近寄ってくる。
その表情。
なぜだろう。
とても嫌な予感がする。
すると、結奈ちゃんが耳元で、
「先輩彼氏できたんですかぁ?社内で噂になってますよぉ」
と囁いた。
「へっ?なんで?」
戸惑いのあまり、変な声が出てしまった。
「先輩ってほんと、鈍いですよねぇ」
「ど、どゆこと?」
「気づいてないみたいだから言っちゃいますけど、先輩って男性社員人気高いんですよぉ」
何それ……
「なんで?」
「当たり前じゃないですか!美人でスタイル良くて、仕事もできる。つまり男性社員の憧れの的!」
「そんな、私、大した人間じゃーー」
「じゃあ、見てください!このオフィス内の雰囲気を」
そう言って、結奈ちゃんは、フロア全体を指した。
まぁ確かに、いつもより空気が重い気がする……
「でも、私のせいなんかじゃーー」
「いえ!先輩のせいなんです!」
否定しようとした言葉を、即座に遮られる。
「信じられないというのなら、やるしかないですね」
そう言うと、結奈ちゃんは大きく咳払いをした。
そして、フロアに響くほどの声で、
「先輩!彼氏できたんですか!?」
と叫んだ。
大勢の社員がこちらを見る。
「彼氏なんていないよ!」
慌てて否定する。
すると、
フロア一帯の空気が柔らかくなった気がした。
あちこちから、男性社員たちの安堵の声が、
聞こえてくる。
「そんな……」
「ね!先輩はすごいんですよ!」
嬉しそうに、結奈ちゃんは言った。
私はなんだか、嬉しいというか、
戸惑いしかなかったのだが。
「でも、急にこう言うのやめてよね!」
「わかりました〜」
口ではそうは言ってるものの、
結奈ちゃんに、反省の色は全く見えなかった。
「で、本当のとこはどうなんです?」
結奈ちゃんは再び小声で聞いてくる。
「何が?」
「だから、彼氏」
「いないってば」
「でも、上野公園でイケメンといたって」
「なんでっ」
思わず口に出てしまった。
ニヤリと結奈ちゃんの口角が上がる。
「それに、帰り際に手を繋いでたとか……」
うっ。
そんなところまで目撃されていたなんて。
「いや〜、見間違えじゃないかな?」
とにかく誤魔化す。
「そうなんですか?残念っ」
そう言った結奈ちゃんの顔は、
小悪魔のような笑みを浮かべていた。
結奈ちゃんだって、異性からモテるだろうに。
「まぁ私は、先輩と部長がくっつくのがいいかなって」
「え、私と部長が!?」
「ベストカップルじゃないですか〜」
「いや、そんな!だって、私はーー」
そう言いかけた時だった。
「私には何なんだ?」
と、背後から聞き覚えのある声がした。
「い、一ノ瀬部長!?」
驚きのあまり、声が裏返ってしまった。
心拍数が増えていく。
「いや、私には恐れ多いと言うか……」
頭が真っ白になる。
「何も恐れ多くはないけどな」
部長は小さく呟く。
「きゃっ」
結奈ちゃんの小さな悲鳴が聞こえた。
いや、悲鳴じゃない。
あれは完全に興奮している人間の声だ。
周囲を見ると、
女性社員たちまで何やらざわついている。
お願いだから、みんな仕事して。
朝から、何なのぉ……
私が混乱していると、
「今日の会議の資料だ」
そう言って、分厚い紙の資料を渡された。
「ありがとうございます」
「少し早いが、このまま一緒に会議室に行こうか」
歩き出した部長の後を急いで追う。
少し後ろを振り返ると、
結奈ちゃんが目をキラキラさせながら、
私にガッツポーズをしている。
もう!
朝から、とんでもない災難に見舞われてしまった。
また、今日から一週間がスタートか……。
新しいプロジェクトも始まって、
これからさらに忙しくなりそうだ。
自分の椅子に腰掛け、「ふぅ〜」と、
深呼吸をして、気合を入れようとしていた時だった。
「せんぱ〜い」
突然、結奈ちゃんがニヤニヤしながら、
近寄ってくる。
その表情。
なぜだろう。
とても嫌な予感がする。
すると、結奈ちゃんが耳元で、
「先輩彼氏できたんですかぁ?社内で噂になってますよぉ」
と囁いた。
「へっ?なんで?」
戸惑いのあまり、変な声が出てしまった。
「先輩ってほんと、鈍いですよねぇ」
「ど、どゆこと?」
「気づいてないみたいだから言っちゃいますけど、先輩って男性社員人気高いんですよぉ」
何それ……
「なんで?」
「当たり前じゃないですか!美人でスタイル良くて、仕事もできる。つまり男性社員の憧れの的!」
「そんな、私、大した人間じゃーー」
「じゃあ、見てください!このオフィス内の雰囲気を」
そう言って、結奈ちゃんは、フロア全体を指した。
まぁ確かに、いつもより空気が重い気がする……
「でも、私のせいなんかじゃーー」
「いえ!先輩のせいなんです!」
否定しようとした言葉を、即座に遮られる。
「信じられないというのなら、やるしかないですね」
そう言うと、結奈ちゃんは大きく咳払いをした。
そして、フロアに響くほどの声で、
「先輩!彼氏できたんですか!?」
と叫んだ。
大勢の社員がこちらを見る。
「彼氏なんていないよ!」
慌てて否定する。
すると、
フロア一帯の空気が柔らかくなった気がした。
あちこちから、男性社員たちの安堵の声が、
聞こえてくる。
「そんな……」
「ね!先輩はすごいんですよ!」
嬉しそうに、結奈ちゃんは言った。
私はなんだか、嬉しいというか、
戸惑いしかなかったのだが。
「でも、急にこう言うのやめてよね!」
「わかりました〜」
口ではそうは言ってるものの、
結奈ちゃんに、反省の色は全く見えなかった。
「で、本当のとこはどうなんです?」
結奈ちゃんは再び小声で聞いてくる。
「何が?」
「だから、彼氏」
「いないってば」
「でも、上野公園でイケメンといたって」
「なんでっ」
思わず口に出てしまった。
ニヤリと結奈ちゃんの口角が上がる。
「それに、帰り際に手を繋いでたとか……」
うっ。
そんなところまで目撃されていたなんて。
「いや〜、見間違えじゃないかな?」
とにかく誤魔化す。
「そうなんですか?残念っ」
そう言った結奈ちゃんの顔は、
小悪魔のような笑みを浮かべていた。
結奈ちゃんだって、異性からモテるだろうに。
「まぁ私は、先輩と部長がくっつくのがいいかなって」
「え、私と部長が!?」
「ベストカップルじゃないですか〜」
「いや、そんな!だって、私はーー」
そう言いかけた時だった。
「私には何なんだ?」
と、背後から聞き覚えのある声がした。
「い、一ノ瀬部長!?」
驚きのあまり、声が裏返ってしまった。
心拍数が増えていく。
「いや、私には恐れ多いと言うか……」
頭が真っ白になる。
「何も恐れ多くはないけどな」
部長は小さく呟く。
「きゃっ」
結奈ちゃんの小さな悲鳴が聞こえた。
いや、悲鳴じゃない。
あれは完全に興奮している人間の声だ。
周囲を見ると、
女性社員たちまで何やらざわついている。
お願いだから、みんな仕事して。
朝から、何なのぉ……
私が混乱していると、
「今日の会議の資料だ」
そう言って、分厚い紙の資料を渡された。
「ありがとうございます」
「少し早いが、このまま一緒に会議室に行こうか」
歩き出した部長の後を急いで追う。
少し後ろを振り返ると、
結奈ちゃんが目をキラキラさせながら、
私にガッツポーズをしている。
もう!
朝から、とんでもない災難に見舞われてしまった。