私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
昼食を食べ終え、やってきたのは、
法隆寺だった。

世界で最も古い木造建築らしい。

ガイドさんの解説を聞きながら、
みんなで境内を回る。

大きくて立派なお寺だ。

とても歴史を感じる。

それでも、悠真が生きていた時代よりも、
後に作られた建物だった。

法隆寺は広くて、
見る場所もたくさんあった。

「先輩!有名な聖徳太子の絵ですよ!」

結奈ちゃんは他の国宝には目もくれず、
聖徳太子の絵の前ではしゃいでいる。

「教科書で見たやつです!」

「うん、確かに有名だね」

「先輩、テンション低くないですか?」

「ん〜、昔の人ってみんなこんな感じの顔だったのかなって思って」

私は聖徳太子の顔を、悠真と比べてみるがーー

やはり違いすぎる。

悠真の方が圧倒的に整っている。

「実は、その絵は聖徳太子本人の顔じゃないと言われている」

「うわあ!」

急に隣に、一ノ瀬部長がやってきたので、
思わず転びそうになる。

「おっと」

部長が肩を支えてくれる。

ち、ちかい!

「きゃ〜」

結奈ちゃんが、嬉しそうに叫ぶ。

視線がこちらに集まるのを感じる。

「あ、ありがとうございます」

「いや、驚かせてすまなかった」

そう言うと、
部長はさっさとどこかへ行ってしまった。

「やっぱり先輩、部長といい感じじゃないですか」

「そ、そんなことないよ」

「本当ですか〜?」

結奈ちゃんはニヤニヤしながら、
私と部長が歩いて行った方向を見比べている。

「それより、他のもみよ。国宝もたくさんあるし」

私はそう言って話を逸らせた。
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