私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
庭に出る。

夜風が気持ちいい。

私は、ベンチに腰掛ける。

「悠真、何してるかな……」

思わず、彼の名前が口に出てしまった。

でも、こんなに一緒にいことはなかった。

「電話、してみようかな……」

スマホを取り出し、悠真に電話をかける。

もう寝てるかな?

それとも、私のことなんて忘れて、
テレビに夢中かな。

「千紘か!」

急に悠真の声が聞こえ、心臓が跳ねる。

「何かあったのか?」

心配そうな、悠真の声。

「ち、違うよ!ただーー」

「ただ?」

「悠真がどうしてるうかなって気になっただけ……」

何言ってるんだろう、私。

顔が熱くなっていく。

すると

「我も夜空を見ながら、そなたのことを考えていた」

と、優しくまっすぐな言葉が返ってきた。

悠真も同じだったんだ。

なんだか嬉しくなる。

「何か困ったことはない?」

「ああ」

「そっか」

何気ない会話。

だけど、声が聞けたことが嬉しくて。

「そうだ!」

急に悠真の声が明るくなる。

「実はな、千紘が着ているパジャマとやらの肌触りがよく、いつも気になっていたのだがーー」

え、さっきまでいい感じだったのに。

嫌な予感がする。

「やはり、着てみると気持ちのいいものだな」

「は?」

一瞬思考が停止する。

だって、それって……

「ちょっ、私の服勝手に着ないでよ!」

「許可を取らずに着てしまったのは悪いと思っている」


「そこじゃない!いや、そこもなんだけど……」

ふと、悠真が私のパジャマを着ている姿が、
目に浮かんだ。

「ぷっ、あははは」

思わず笑えてしまった。

「どうしたのだ?」

悠真は困惑してる。

だって、悠真があの有名ブランドの、
もこもこパジャマを着ている姿を想像すると、
面白くて笑いが止まらなくなった。

「もう、笑わせないでよ」

姿は見えていないのに、
それでも、彼の姿がはっきりと想像できる。

やっぱり、今日は飲みすぎた。

「まぁ、明日帰るし、旅行の話はその時にするね」

「そうだな。楽しんできてくれ」

「うん。おやすみ」

「おやすみ」

そうして、私は電話を切った。
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