私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

第14話 社員旅行。最終日。

今日は朝から、明日香村に来ていた。

石舞台古墳や、飛鳥寺を巡り、
本日の目玉、サイクリングが始まろうとしていた。

「なんで、社会人になってこんなことをぉ」

隣で自転車に乗る準備をしている結奈ちゃんは、
とても不満そうに、さっきから文句を言っている。

「意外と楽しいかもよ」

結奈ちゃんの空気に飲まれないように、
声をかける。

それに、私は結構楽しみだった。

まぁ、大人になってから、
観光で自転車に乗るなんてなかなかない。

修学旅行くらいだと思っていた。

でも、自転車だからこそ、行けるような場所も、
あるかもしれない。

明日香村は、かつて悠真たちが暮らしていた場所。

だから、いろんな場所に行ってみたいと思った。

それに――

あの夢と何か関係があるかもしれない。

最近見る夢は、あまりにも鮮明だった。

まるで、誰かの記憶を覗いているような気さえする。

もし、この場所で何かわかるのなら。

私は、少しだけ知りたいと思った。
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