私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
長い移動に疲れながらも、
私は最寄り駅に到着した。

東京駅で解散する時まで、部長や結奈ちゃんは、
私のことを心配してくれていた。

申し訳なさもあったけれど、
今までより距離が近くなったようで、
少し嬉しくなった自分がいた。

二人には、何かお礼にお菓子でも渡そうかな。

そんなことを、考えている自分に驚く。

そうして、いつもの改札を抜ける。

空はすっかり暗くなっていた。

見慣れた街並み。

見慣れた帰り道。

それなのに、なぜか少しだけ足が速くなる。

早く帰りたい。

そう思っている自分に気がついた。

疲れているからなのか。

それとも悠真に会いたいからなのかーー

「っ……何考えてんだろっ」

自分の顔が赤くなっていくのがわかる。

「とにかく早く帰らなきゃ」

慌てて、気持ちを切り替える。

「疲れて早く家に帰りたいだけ!」

そう、自分に言い聞かせる。

もう限界だ、と訴えかけているほどの、
音を立てているキャリーバックを無視して、
さらに歩く速度を早めた。

アパートの階段を上る。

そして部屋の前まで来た時だった。

ガチャ。

鍵を取り出す前に、玄関の扉が開いた。

「うわっ!」

思わず、ひっくり返りそうになる。

「千紘!」

私の体を優しく抱き止める腕。

たった数日、離れていただけなのに、
とても懐かしく感じる。

張り詰めていたものが、
ふっと緩む。

気づけば私は、
悠真の服をぎゅっと掴んでいた。

「おかえり、千紘」

「ただいま」
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