私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

第16話 奈良旅行の報告会

「奈良の都はどうであった!」

悠真は、私をアパートの廊下に立たせたまま、
裸足で、玄関から興奮気味に身を乗り出している。

「いや、とりあえず家に入らせて」

話を聞きたくてしょうがない、
と言った様子の悠真を押し除け、家に入る。

靴を脱いだ瞬間の、足の開放感に感動する。

しかし、感動に浸っている場合ではない。

重いキャリーケースを玄関から、運ばなければ。

私は最後の力を振り絞って、ケースを運ぶ。

しかし、その間も悠真は私の周りにまとわりつき、
話しかけてくる。

邪魔すぎる。

私は無言で、悠真の足を思い切り踏んだ。

悠真の動きがぴたりと止まる。

これで黙るだろう。

そう思い、私が再び進み始めると、
悠真は何事もなかったかのように、
また、話しかけ始める。

こいつには痛覚がないのか?

そんなに待てないのか。

犬のように、悠真は私の周りをぐるぐる回っている。

「千紘! 奈良はどうだったのだ!」

「あと三十秒だけ静かにして」

「三十秒とはどれくらいだ?」

「ああ、もうっ!」
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