私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
第5章 すれ違い

第19話 悠真、仕事がしたい

今日は社員旅行後の始めての出勤だ。

部長にも結奈ちゃんにもお礼をしないと。

でも、なんだか二人に会うのが不安だった。

あの日の記憶が、鮮明に思い出されそうで。

とは言っても、仕事には行かなければならない。

いつも通り準備をして、悠真の作った朝食を食べる。

昨日の夜の悠真の言葉を、思い出す。

『この先、我らがどう生きていくのか。そのことを考える良いきっかけになったのではないか』

「どうした?」

「え?」

「ぼーっとしていると、遅刻するぞ」

「あ、うん」

「それから、我も仕事をしようと思う」

その言葉に、耳を疑った。

悠真が、現代の世の中で働く?

「千紘にばかり、負担をかけさせられぬ」

「負担だなんて思ってない。それに、悠真が今の時代で働くのはーー」

「無理だと言いたいのか?」

その声は静かだった。

でも、その瞳には、
悔しさのようなものが浮かんでいた。

今まで見たことのない表情だった。

でも、戸籍も、履歴もないのにどうやって……

時計を見ると、出発する時間を過ぎていた。

「やばっ」

慌てて立ち上がり、急いで靴を履く。

後ろには悠真が、何か言いたそうに立っている。

大体はわかっているけど。

「とにかく私は、反対だから」

私は悠真の返事も聞かず、
顔も見ないままドアを閉めた。
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