ほたる先生は振り向かない

好きだからいいじゃん

三者面談を明日に控えて、私は自分の部屋の机に『進路希望調査票』を広げていた。


さっきからスマホがずーっとピロンピロンと鳴っていて、通知音が鳴り止まない。
今週から始まった三者面談の話で、クラスのグループラインが盛り上がっているのは知っている。

でもそれに参加する気にもなれなくて。

スマホの通知をそっとオフにして画面を伏せてから、また机に向き直る。


迷っているわけでもないし、悩んでいるわけでもない。
たぶん、もう決まっていたんだと思う。

いつからなのかは分からない。
でも、気づいたらこの道しか考えていなかった。


不思議と、穏やかな気持ちだった。


握り直したシャーペンで、空欄になっていた第一希望の欄に、さらさらと文字を書き込んでいった。


第二、第三まで書き込んだけれど、目指す道は同じ。
私はこの道を選ぶ。


「……よし」


すべて書き終えて、プリントをファイルへと丁寧にしまった。

明日、お母さんや先生たちはどんな顔をするだろう。
そんなことを考えながら。




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