ほたる先生は振り向かない
京都、奈良。
映えもしない古いお寺。
……とか思っていた少し前の自分を、心からぶん殴りたい。
他クラス引率のほたる先生の表情が珍しく少しだけ柔らかく見えて、思わずスマホを構えてしまった。
「まつり!えっ、なに、寺に興味あったの?」
「……うん」
隣に玲奈が来てしまったものだから、ほたる先生に照準を合わせることができない。
「こう、もっと角度変えたら?」
ぐいっとスマホを上に向けられて、無意識に下へカメラを戻す。
「いや、こっちの角度がいいの」
じゃないと、嬉しそうなほたる先生が映らない。
「えーっ、でも上の方が映らないよ?」
「いいんだってば!」
「なんでよー!」
「上は重要じゃないの!」
ほたる先生を撮りたいの!……とは言えない。
二人でああでもないこうでもないを繰り返しているうちに、「行くよー!」と男子から声をかけられる。
「まつり、行こ行こ」
「画質が終わってる……」
「終わってないよーいい感じ!」
「寺じゃないんだよ……」
「え?」
「な、なんでもない」
何枚か連写した写真。
その中に、でっかい清水寺と、その下に口元が少し緩んで見える先生。
拡大しないと分からないくらいの、豆粒。
アルバムの中に、変な写真が一枚増えた。
「……ツーショとか、撮ってみたかったかも」
口の中だけで、小さくつぶやいた。
••┈┈┈┈••
映えもしない古いお寺。
……とか思っていた少し前の自分を、心からぶん殴りたい。
他クラス引率のほたる先生の表情が珍しく少しだけ柔らかく見えて、思わずスマホを構えてしまった。
「まつり!えっ、なに、寺に興味あったの?」
「……うん」
隣に玲奈が来てしまったものだから、ほたる先生に照準を合わせることができない。
「こう、もっと角度変えたら?」
ぐいっとスマホを上に向けられて、無意識に下へカメラを戻す。
「いや、こっちの角度がいいの」
じゃないと、嬉しそうなほたる先生が映らない。
「えーっ、でも上の方が映らないよ?」
「いいんだってば!」
「なんでよー!」
「上は重要じゃないの!」
ほたる先生を撮りたいの!……とは言えない。
二人でああでもないこうでもないを繰り返しているうちに、「行くよー!」と男子から声をかけられる。
「まつり、行こ行こ」
「画質が終わってる……」
「終わってないよーいい感じ!」
「寺じゃないんだよ……」
「え?」
「な、なんでもない」
何枚か連写した写真。
その中に、でっかい清水寺と、その下に口元が少し緩んで見える先生。
拡大しないと分からないくらいの、豆粒。
アルバムの中に、変な写真が一枚増えた。
「……ツーショとか、撮ってみたかったかも」
口の中だけで、小さくつぶやいた。
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