βの私に執着した元カレαの執着愛が止まりません
αが仕掛ける甘い毒牙
2週間後
『今週の日曜、先週行けなかった江ノ島に行こう。朝10時、沙梨のマンション下で待ってる』
また退勤時刻間近に届いた、耀からの誘いメッセージ
その日に溜まった薬歴を片付けながら、小さな溜息を周囲に聞かれないように吐いた。
日曜って、完全に私の予定のない休日を狙われている。
そして、再会してオムライスを食べた帰り道、耀の車で自宅まで強制送還された私は、現在の住居まで彼に知られてしまったため、今回のお出かけも、私の拒否権はない様子。
この誘いに抵抗したら、また鬼電かかってきそうだな…。
思い出すこと、1週間前。
今日と同じようなショートメッセージが退勤後にスマホに届いて、ちょうどその日は引っ越し直後だったこともあり、荷解きに時間を割きたい気持ちが強く、予定があると耀の誘いをメッセージで断ったのだ。
すると電車での帰宅途中、耀から大量の着信が来ていて、帰宅してスマホを確認した私は驚愕したのだ。
すぐに折り返し電話すると、ワンコールも鳴らないスピードで応答した耀の第一声は、『浮気?』の一言だった。
ただならぬ空気を感じ取った私は正直に引っ越しの荷解きを終わらせたい旨を伝えると、耀は納得した素振りを見せた。そこまではよかった。
間髪入れずに、耀は荷解きを手伝うと言い出したのだ。
すでに現住所を耀に知られたことさえ好ましくない事態なのに、どんどん予期せぬ方へ進んでいる気がした私はもちろん彼の提案を断った。
でも、当日の朝10時、自宅のチャイムが鳴って玄関を開けた先に立っていた彼。
驚き硬直する私を優しく抱き止めて、さも自分も住んでいるかのような立ち振る舞いで私の新居に足を踏み入れた耀は、たった1日で荷解きと掃除、家具の組み立てさえも終わらせたのだ。