ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「暢気なこと言ってる場合じゃないでしょ。急に早退なんてして、あの後、結構騒ぎになったんだよ。奈々からもメッセージ来てるよね? 返信ぐらい──」

傍まで歩み寄りながらつい非難する語調になってしまう。柚木くんは靴を脱ぎ、私の横をすり抜けながら言った。

「心配かけてごめん。でも俺、明日であの会社は辞めるから」
「は────!?」

振り返った姿勢で頭が真っ白になる。

「な、何言ってるの……?」

辞める? なんでいきなり、そんな話になるの?

「明日、退職願いだけ出しに行く。その後、ここの荷物もまとめて出ていく」

リビングに入った柚木くんは、バッグを置いて遅れて入ってきた私に向き合う。

「ここも……!?」

聞き間違いじゃないかと耳を疑った。そうであってほしい。

だって、出ていかないと彼の口から聞いたのは、昨日のこと。あれから24時間も経っていないのに。

もうしばらくは、ここが彼の居場所だと思っていたのに。

「冗談だよね? そんな急に……」
「本当だよ」
「っ……」

私は柚木くんを見ていられなくて、視線をそらした。カーペットを見つめ、無意識のうちに唇を噛む。

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