ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
眼鏡をポケットにしまうと、伸ばされた腕が私の体を包む。

ふわりと、大切な壊れ物に触れるような抱擁だった。

「っ……柚木くんは、勝手すぎるっ……」

ずっと、飄々とした後輩の顔をしてたくせに。その仮面を勝手に外して、強引に私の生活に入り込んできて。安穏とした日常を奪って。

同居だって、柚木くんが無理矢理押しかけてきて始まった。いつもいつも、柚木くんは私を振り回してきた。

──そうしてまた、最後まで勝手に消えると言う。私の気持ちなんてお構いなしに。

「どうして、そんななのよ……!」

「……ごめん」

柚木くんの掌が私の背中を撫でる。
その優しい動きが無性に温かくて、悔しくて、堪え切れなかった涙があふれた。

「うっ……、っ……」

悔しい。色んなことが悔しい。
蘭子さんにも、柚木くんにも、自分にも。

そう、振り回されてただけのはずなのに、いつの間にかこんな気持ちになっている自分にもだ。

出ていくと言われると寂しくて。あの人の所に戻ると言われると切なくて。
まるで裏切られたような気分になっている、そんな自分。
そして、私をこんなふうに変えたこの人。

「……泣かないで。置いていけなくなる」

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