ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~

「ファズがいるし。それに、自分で買った物だって少しは置いときたいんだよ」

ここに置かれている瞬也の物は、全て蘭子に買い与えられた物だ。

「……そう。ファズは元気? もうすっかりおばあちゃんでしょう」

言いながら、蘭子が体を擦り寄せ、首に両腕をまわしてきた。瞬也はそれを受け止め、抱擁で応える。

体を捧げることはできない。それでもどうにかこの程度の触れ合いは、親愛行為と思えば許容範囲だった。

「まだまだ元気だよ」
「そう。それはよかったわ」
「……それより、蘭子さん。ピュアスプリングとの提携の件、明日にはちゃんと──」
「わかってるわよ。当初の計画通りで問題ないと連絡するわ。それでいいんでしょ?」

個人的な話題もそこそこに尋ねられ、やや不満そうな顔をしながらも、蘭子はきっぱりとそう答える。

「……うん。お願いね」

瞬也は小さく息をついて頷いた。

蘭子はしたたかな女だが、さすがにこの言葉を(たが)えることはないだろう。自分も、ちゃんと約束は果たしたのだから。

──これでいい。

ピュアスプリングは資金難を打破することができ、業績も安定するだろう。アドバイザーもカウンセラーも、今まで通り業務を続けられる。
美咲もチーフにとどまらず、女課長になるくらいまで躍進してほしいものだ。
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