ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
──わかってた。やっぱり自分は、最後はここに帰るしかないんだって。
今回の提携が決まったのはホワイト・マリッジからのアプローチがきっかけだ。
瞬也が勤める企業だからこそだということは、以前蘭子が会社を訪問して会った日に聞いている。
あの日も蘭子は、ピュアスプリングも自分の手中になるのだから、もういっそ戻ってこいと話してきた。
拒んだ時、彼女はただ残念そうに微笑んでいた。時を同じくして、完全吸収への要望転換。
ビジネスとして元からその腹積もりだったのか、気が変わったのか、瞬也への当てつけなのかは知らない。
いずれでも大差はなく、瞬也の選べる道はひとつだけだ。撤回を条件に彼女の望みを受け入れることだけ。
──これでいいんだ。
自分は蘭子に見えない手綱で繋がれている。いわば放し飼いのペットのようなもの。
そんな自分が美咲に近づける日など、永遠に来ないと思っていた。
ならば触れ合った日々の記憶はもう仕舞い込み、最初からなかったことだと思おう。
──本来の場所に戻ってきただけなんだ。もう、忘れろ──
生まれて初めて欲したものも、感じたことも、過ごした時間も、全部。
忘れた先に美咲の笑顔があるのだと思えば、大丈夫だ。忘れられる。