ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
【15】取り残された心の、扱い方
翌日、柚木くんは始業2分前に出社してきた。そして朝礼が終わるとすぐに、大竹課長の席に歩み寄る。
話すタイミングもないまま、二人は併設されている打ち合わせ室へと入っていく。
気になって仕事が手につかずにいると、20分ほどで二人が出てきた。
揃って課長の席へと歩いていき、課長はデスクの隣に柚木くんを立たせる。
「みんな、ちょっと聞いてくれ。急なんで今残っている者だけになるが、話がある」
オフィス内にいた社員たちが何事かと顔を上げる。
「柚木君が、本日付で退職することになった。急なことだが、やむを得ない家庭の事情だそうだ」
「えっ」と奈々が大きな声を出した。周囲もかすかにざわめき、課長が制して柚木くんに
一言挨拶するように言う。
「唐突で申し訳ありませんが、課長のご説明どおりです。短い間でしたが、お世話になりました」
無感情な、書かれたセリフを読み上げてるかのような挨拶だった。その間柚木くんの目は床の上を見つめるだけで、仕事仲間の誰の顔も見ていない。
「ビックリした! 柚木くんみたいに優秀な子がいなくなんのはきついよー!」
席に戻った柚木くんに、奈々が歩み寄った。