ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
──無責任に逃げた男なんだろ? どこがいいんだよ。

それでもこの当時から、蘭子はこの男のことが好きだった。先輩である、瞬也の母親の彼氏だとわかっていても。

詳しい事情は知らないが、瞬也の母親と別れた後、父親は街からも出ていったという。
蘭子がこの写真を大切に保管しているということは、以降、彼女も彼と再会することはなかったのだろう。

やがて大人になって母親と蘭子が再会した時に出会ったのは、かつての思い人の血を受けた、彼に瓜二つの少年。

そっくりなら息子でも、他の女性との子供でもいいのか。その辺りの蘭子の想いは、瞬也には理解できないけれど。

「勘弁してよ──…」

ため息が漏れる。

──まさか、昔の実らなかった恋の埋め合わせをさせられてたとはね。

それなら、蘭子が満足できる日などきっと来ない。

どれだけ傍にいて親愛の情を示そうと、結局は、自分は偽物でしかないのだから。

「やっぱり俺は、一生ペットの運命ってことか──…」

もっと早くに気づいていればよかった。
逃げ道などどこにもないとわかっていれば、美咲へ手を伸ばすこともなかったかもしれない。

だが、もう遅い。

もう一度深いため息をついて、瞬也はパスケースを引き出しに戻し、そっとその扉を閉めた……。

< 125 / 175 >

この作品をシェア

pagetop