ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
蘭子さんは踵を返し、さっさとビルの出入口を離れ歩道に出る。私がついてきているかどうか確認もせず、ブーツの踵を鳴らして一人で歩き始めた。

私はその場で逡巡する。

私と彼女の関係は会社社長と、その提携企業の一社員でしかない。仕事の話だとは思えない。

なら、他に考えられることはひとつしかない。

柚木くんと私の関係も、誰も知らないはずだけれど……それでもその可能性があると思えば、心は決まった。

彼が会社を辞めてから今日まで、今どこでどんな生活をしているのかを気にしなかった日はない。

「乗って」

会社を少し離れた路上で、蘭子さんは車道を目で示した。パーキングスペースに、赤いボディの車が停まっている。

蘭子さんがロックを解除して運転席に乗り込んだ。私も助手席のドアを開け、体を滑り込ませる。

「そんなに警戒しなくていいわ。落ち着いて話せる所に移動するだけよ」

前を向いてハンドルを切りながら彼女が告げた言葉は、それだけ。
15分ほど走って車が到着したのは、都内にあるシティホテルだった。

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