ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「……なんですか、悪い予感って」

質問にすぐ答えず、彼女は煙草を取り出して火をつけ、一口吸ってからふぅっと紫煙を吐き出した。

「色んな女と関わってきてるけれど、瞬也はどれも本気じゃないのよ。……今までは、ね」

最後の一言でぐっと声のトーンが落ちて、氷のような眼光が私を射抜く。

「だけど、今回だけは違うみたい。……ねえあなた。私の瞬也に、何か余計なことをしてくれたわよねぇ?」

ドクッと心臓が跳ねた。

混乱する頭でその意味を考えようとする前に、蘭子さんは矢継ぎ早に次の言葉を放つ。

「瞬也は何でもないと言い張ってるけど、私にはわかるの。あの子があんなふうになるのは初めてなんだから」

「あんなふう……?」

彼は今、どうしているのか。
最も気にしていたことに話が及んで、私は自然、一歩前に出ていた。

「何でもないふうを装ってるけど、てんで上の空よ。心をどこかに落としてきたみたいにね」

心をどこかに落とした。
その言葉にすべてを諦めたような柚木くんの瞳が思い出されて、胸を引き絞られる。

「最初からあの会社には何かあるんだろうとは思ってたわ。取引してまで会社を救おうとするなんて、瞬也らしくないもの」
< 133 / 175 >

この作品をシェア

pagetop