ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
ここは一階エントランスにコンシェルジュが常駐する高級マンションだ。セールスの人間は来ない。

蘭子ならインターホンを鳴らすはずがないし、荷物が届く予定も来客予定もない。瞬也が一人で留守番している時にインターホンが鳴ることなどまずない。

ピンポーン、ともう一度音が鳴り響く。心当たりがないのだからいいだろうと無視した。

次は連続で二回、ピンポンピンポーンと急かすように鳴る。

「っ、誰だよ……?」

渋々重い腰を上げ、インターホンへと歩み寄る。

少し背中を丸めてモニター画面を覗き込んで……次の瞬間、瞬也は思わず声をあげた。

「美咲!?」

さらに顔を近づけ見間違いかと再確認するが、間違いない。画像の中にいるのはまぎれもなく美咲だ。

──なんで、美咲がここに。

蘭子の住居を美咲が知っているはずはない。それなのに、なぜ?

いやそもそも、美咲はここに何をしに来たのか?

瞬也は混乱した。取り乱すなど柄にもないと思うが、相手が美咲とあっては自分は形無しだ。彼女だけが、自分を乱す。

忘れなければいけない、忘れようと考えた。
だが、想いを消してしまうことなどできようはずもない。

< 138 / 175 >

この作品をシェア

pagetop