ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
つまり奈々がいない今日は、別チームのチーフで対応しないといけない。

「待ってて」

柚木くんから入会申込書を受け取って、私は顧客名入りの領収書を作り始めた。
印紙の貼付けや押印も済ませて、柚木くんに手渡す。

「キャッシュなんてやるわね」

無言で渡すのもなんだし、何の気無しにそう言ったら。

「お客様がよかっただけです。金も印鑑も持ってきてましたから、最初からそのつもりだったかと」

返ってきたのは、謙遜というにはあまりに程遠い、感情のこもらないそっけない声。

可愛いげないな……と内心では肩透かしくらいつつも、一応上司の威厳を保って『いってらっしゃい』と送り出した。
柚木くんは返事すら返さずに私の傍を離れていく。

……本当に、彼が何を考えてるのかはさっぱりわからない。

営業なんて仕事選んだほどだし、現に優秀だし、決して奥手とか人見知りってタイプではないんだろうけど。

でも社員とはほとんどコミュニケーションとらず、常に一人で、仕事以外ではとにかく寡黙で。

──この仕事、楽しんでやっているんだろうか。

柚木くんの背中を見ながら、私はそんなことを考えてた。

まさかその後、その答えを知るような機会が訪れることなんて、これっぽっちも知らずに──。

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