ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「……それで、美咲は?」
消えそうな声で尋ねると、美咲は憤慨したように大きく肩をいからせる。
「それでも何も、突き返したに決まってるでしょ! そんな取引、できるわけないじゃない!」
「っ! 突き返したって、でもそれじゃ仕事が──!」
蘭子はそれくらいのことは平気でするだろう。単なる脅しではことなど、美咲もわかるだろうに。
「……そうね。どうなるかわからない。今のところ、会社からは何も言われてないけど」
そう言うと、美咲は心を落ち着けるようにゆっくりと大きな呼吸をした。
そして、まるでこの場にいない蘭子を睨みつけるようにキッと眉をあげて、
「だけどそれでも、あんな卑怯な人に屈服できないもの」
「美咲……」
臓腑をえぐるような苦さと、染み入るような嬉さが複雑に駆け巡る。
自分はもう何年も前に、そんな人に屈服してしまった。そのせいで、結局美咲にこんな迷惑をかけてしまっているのだ。
だがそれを毅然とした態度ではねつけた美咲が眩しく、やはり、自分が焦がれた存在なのだと痛感する……。