ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
私は親を失って一人ぼっちになったこともないし、彼と同じ状況に陥ったこともない。蘭子さんとの関係と、その時の自分を守るために、当時の彼にはそれが最善だったんだろう。

柚木くんは賢い人だ。ただ流されてそうなっただなんてことは、ないはずだから。

だけどそれでも、今の彼には私は何度でも言いたい。もうやめるべきだって。

本当は柚木くんだってとっくに気づいてるはずなんだ。でも、諦めてしまっている。

けれどごまかし続けるだけでは何も手に入らないし、一生幸せにはなれない。

「柚木くんが言ったんだよ。私のこと本気で奪うって。あれは嘘?」

絡んだ視線の先で、柚木くんが肩を震わせた。

動作のひとつひとつも、私の知るすました態度とは全く違う。きっとこれが、今の柚木くんの心。

「嘘じゃないなら、最後まで貫いてよ。自分から仕掛けといて途中で逃げるなんて、反則」

「……逃げたつもりはないよ」

ようやく、柚木くんが低く呟くようにそう言った。

「貫いてよかったなら、どれだけでも貫いた。そういう未来を本気で願った瞬間もあった。……でも、奪えない。美咲さんから、美咲さんの大切なものは」

「柚木くん……」

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