ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
わかるよ、今なら。

それが、柚木くんなりの優しさ。私を守るためにやってくれたことなんだよね。

だけど、タイミングが悪かった。というか、手遅れだったというべきかな。

その時にはもう、私にとって柚木くんは、目を背けて忘れていけるような存在じゃなかったんだから。

「会社を吸収合併から救ってくれたのは、ありがとう。私もいつまで社員でいられるかわからないけど、それは本当に感謝してる」

言いながら、私は小さく右足を踏み出した。柚木くんとの距離が、さらに縮まる。

「だけど、私にもちゃんと責任取って。仕事も会社も大切だよ。でももう、このままじゃ終われない」

──仕掛けられた恋は、いつの間にか始まってしまっていたから。

「美咲……」

どこか呆然とした顔で私を見る柚木くんに、もう一度続ける。

「もうあの人とのことはやめて、私と一緒に行こう? 仕事も会社も、まだ何か守る方法はあるかもしれない。それに私は取引なんかじゃなく、正々堂々、戦って勝ちたいと思う」

蘭子さんの目的は柚木くんを手に入れることだから、彼が犠牲になれば取引は簡単だった。でもそれじゃ意味がない。

それは、本当の勝ちじゃない。
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