ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~

「わかった、私が入るわ。雅絵は自分のとこフォローして」

奈々がいないから私が行くしかない。私は雅絵と一緒にカウンセリングルームに入った。
中に入るとすぐ、奥の方の個室から大きな声が聞こえてくる。男性客の声だ。

ベテランレベルに優秀な柚木くんがお客様を怒らせるなんて、本当に何があったんだろう。

不安を感じつつも気を引き締め、私はその個室に足を踏み入れた。

「失礼いたします、お客様。私、柚木の上司の里中と申しますが、柚木が何か失礼を申しましたでしょうか?」

お客様と柚木くんの視線が私に向く。
柚木くんは眼鏡の奥の瞳をスッと細めた。

「上司の人? キミのとこ、どういう教育してるの。こいつ、とんでもなく失礼なんだけど」

「申し訳ございませんでした。柚木の失礼は私が代わってお詫び申し上げます。よろしければもう少々──……」


〇●


「納まってよかったね」

誰もいなくなったオフィスに二人きり。

あの後、お客様を不快にしてしまった詳しい事情を尋ねた。

けれど柚木くんが失礼だとか生意気だとかこっちの意見を聞かないとか、抽象的な文句が出るばかりで、具体的なきっかけはあまりよくわからなかった。

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