ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「え……? あの──」

私服姿の瞬也にスタッフは最初顔を曇らせたけれど、途中でハッと目を見張る。見覚えがある関係者だと気づいたのだろう。

「かしこまりました、少々お待ちください」

カウンター上の電話で秘書室に社長への来客があることと、それが瞬也であることを伝えてくれる。

しばらく通話が保留にされ、やがて会話を再開したスタッフは受話器を置いて、

「社長がお会いになるそうです。社長室へお向かい下さい」
「ありがとうございます」

瞬也が目線で私を促した。ホールからエレベーターに乗り、最上階に近い階で降りる。
廊下を進み、重厚な木製ドアの前に立った。

「大丈夫? 緊張してる?」
「してるけど。でも、平気よ」

答えた私に短く頷いて、瞬也がドアをノックする。すぐに中から『お入りなさい』と返事があった。

「──まさかのこのこ二人で来るとは思わなかった。私は好都合だけれど、いい度胸してるわね」

二人で並んで踏み入った社長室は、高価そうな棚や来客セット、社長のデスクなどが配置された広い部屋。

デスクに座って私達を迎えた蘭子さんは、意外にも微笑みを見せてそう言った。

< 165 / 175 >

この作品をシェア

pagetop