ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「んんっ………」

拒まないと。そう思うのに、体は硬直したように固まって動かない。

最初は触れるだけだったキスは、すぐに私の唇を割り深くなった。

自分のものではない熱を口腔に感じて、ようやく体が動く。

「やめて!」
「ッ……」

ドンッと柚木くんの体を突き飛ばし、キスから逃れる。

息を乱しながら顔を上げると、柚木くんと目が合った。

「なんて顔してるんですか。たかだかキスくらいで」

柚木くんはまた、見たことのない表情をしていた。
笑ってるようにも泣いてるようにも見える、曖昧な笑顔だ。

そしてその顔から受ける印象が、さらに表情とは異なる点でいつもと違うことに気づく。

ワンテンポ遅れてわかった。柚木くん、眼鏡を外してるんだ。

キスの寸前に外したんだろう。彼の周囲を見ると、それは机の上にあった。

私の視線に気づいた柚木くんは、眼鏡を手に取る。
かけるのかと思ったら、折りたたんでスーツの胸ポケットにしまった。

「実はこれ、ダテなんです」

「あ、あなたねっ……」

今はそんなこと話してる場合じゃない。

椅子を鳴らして立ち上がり、手の甲で唇を拭うと、私は彼を睨みつけた。
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