ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
でも「ご褒美」とか、「したくなったからした」なんて言ってたから、その場の気分みたいなものだろう。
そして向こうがそれをなかったことにしようっていうなら、それでいい。

ううん、むしろその方がありがたい。

チームは違えど、これからも同じオフィスで働く仕事仲間。
おまけに一応上司と部下で──本当はあんなこと、絶対あっちゃいけなかった。

私には拓巳っていう彼氏だっている。
今まで拓巳に後ろめたいことなんて何ひとつなかったのに、初めてそういう事実ができてしまった。

どちらの面から考えても、なかったことにした方がいい。
だから私も、全部忘れてしまった方がいいんだ。

──うん、そうよ。もう、思い出さない。夕べのことは忘れる。

改めて胸の内で繰り返して、私は気分を変えるように明るい声を出した。

「それよりさ。今日もまた、飲みに行こうよ」
「今日? 給料日前だし、安いとこならいいけど」
「いいよ、どこでも。んじゃ決定ね」

なかば強引に押し切って奈々にウンと言わせると、止まってた食事を再開する。
食べ終わってしばらく雑談して、それから店を出た。

< 26 / 175 >

この作品をシェア

pagetop