ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
会社のあるビルのエントランスまで来たところで、バッグの中でスマホが鳴り、私は立ち止まる。

「あ……拓巳だ」
「ん? メール?」
「ううん、電話」

昼休みだとわかってるからかけてきたみたいだ。
奈々が目線でOKをくれたので、私は電話に出た。

「もしもし?」

『あ、もしもし俺。 大丈夫? 休憩だった?』

「うん。今会社に戻ろうとしてたとこ。どうしたの?」

『ああ。なんかさ、今日早く終われそうなんだ。それで、この間のお詫びに食事でもどうかと思って』

「え? 今日……?」

なんてバッドタイミング。ついさっき、奈々と飲みに行くことにしたばかりだ。

「えーと、ゴメン、今日は……」

『ん? なんだ、ムリか?』

「うん、ちょっと友達と約束が……」

とそこまで口にした時、ツンツンと左の腕がつつかれる。
見ると、奈々がニヤニヤした笑いを浮かべて、小声で囁いてきた。

「私はいいわよ。女友達とのビンボー飲み会より、彼氏でしょ」
「え、でも……」

私の方が誘ったのに。

「いいってば。拓巳くんと仲良くやんなさい。私、先に行ってるね」

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