ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
【5】彼氏にバレない嘘の、つき方
「……美咲? どうした?」
カトラリーを使う手を止めて、拓巳が尋ねてきた。
私が顔をあげて「え、何が?」と聞き返すと、
「いや、なんか元気ないから。もしかして今日、疲れてたか?」
「え……」
奈々だけでなく拓巳にまで言われてしまった“元気がない”という言葉に、私は内心で自分を叱咤しながら、
「そんなことないよ」
と、ムリヤリに笑う。
仕事終わりで私のオフィスの最寄り駅まで来てくれた拓巳と会い、彼が予約してくれたフレンチのお店に入った。
だけど向かい合って食事をしながらも、たしかにさっきまでの私は上の空だった。
せっかくのおいしい料理も、しばらくぶりに会った拓巳との会話も、全部が心の少し横を、すき間風のようにすり抜けていく。
理由はわかってる。昼間柚木くんに言われた言葉が、心に引っかかっていた。
──楽しそうに見えない。
柚木くんは私のことも、ましてや拓巳のことなんてこれっぽっちも知らないのだ。
そんな彼が言ったことなんて、気にしなければいいじゃないか。
そう思っているのに、なぜか頭から離れない。
私は、拓巳のことが好きだから付き合ってるんだ。