ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
【9】危険な同居人との距離の、保ち方
次の休みに当たる、水曜日。
私の部屋には、中サイズのキャリーバッグと、もう一つ謎の荷物を持ってやって来た柚木くんがいた。
一方的な居候宣言からは今日で四日目になるけど、結局それまでの間も、夜は私の部屋に泊めてしまっている。
本当に帰る所がない、お金もないと言われて、なかば脅しみたいなものだったけれど……
でも私自身も、どこかもう諦めているところがあった。
強い押しに流されたとはいえ、肌を合わせ、社内では間違いなく私しか知らないだろうという彼の素顔を見て。
年寄りじみた言い方だけど、情が移ったというんだろうか。
冬の寒いなか強引に出ていけと怒鳴ることもできないし、会社に来てくれないと上司としても困るし……。
そんなことを言い訳のように胸の内で繰り返して、結局今日を迎えている。
「──荷物、それだけなの?」
荷物をリビングに入った所に置いたまま、まずトレンチコートを脱いでいる柚木くんに、つい怪訝な声で聞いてしまう。
『千晶は仕事でいないから、留守のうちに荷物を取ってくる』と言って出て行った柚木くん。
持てる範囲の荷物なのはわかっていたけれど、それにしてもこの荷物は少ない。