ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~

そんな疑問が顔に出てしまっていたのか、柚木くんは『焦るな』とでも言うように、少しだけ意地悪に目を細めた。

「二人で働くようになってから二年後に、俺の母親が交通事故で死んだんだ」

「え──」

漏れた声が、喉の奥に張りつく。

なんと言っていいかわからない私が言葉を見つけるより先に、柚木くんが続けた。
こんな内容でも淡々と、まるで本でも読むように。

「本当に突然だったよ。まだ中学生だった俺の、身の振り方が問題になった。ろくに会ったこともない遠縁に預けられるか、児童施設に入るかという選択になった時、蘭子さんが言ったんだ。自分が後見人になって、俺を引き取るって」

「あの人が……」

ようやく腑に落ちる。こうして彼女は、柚木くんの親代わりになったんだ。

「経済力は問題ないし、遠縁の親戚よりも生活環境がよかったから申し出はするする進んだよ。蘭子さんは正式に俺の後見人になり、俺は彼女のマンションに引っ越して、二人暮らしを始めた」

後見人の務めは柚木くんが成人するまで。
顔見知りだった女性との、数年間の同居。

「ありがたかったし、うまくやれると思ってたよ。感謝してるから、迷惑かけないようにいい子でいようと思ってた。だけど……」

< 91 / 175 >

この作品をシェア

pagetop