ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「……あの、それ、もしかしたら重役との話し合いに行ったのかもしれないです」
音もなく私と奈々の間に加わり、こそっと小声でそう告げたのは雅絵だった。
「え、重役と?」
「はい。実はさっき人事総務に行った時、人事課長が誰かと電話で話してて。口調から、重役と話してたみたいなんですけど。その会話が、ちょっとヤバそうな感じで……」
「ヤバそう? どういうこと?」
「詳しくはわからないんですけど、事業提携に関してホワイト・マリッジが要求を変えてきたっぽくて。社員には何のしわ寄せもいかないはずだったろうとか、話が違う、とか息巻いてて……」
「えっ!?」
「ちょっと奈々、声大きい」
「ゴメン。でも雅絵、それ本当なの?」
「たしかにそう言ってたんです。『それじゃ完全吸収と同じじゃないですか。ピュアスプリングの組織は消滅しますよ!』って。それで緊急会議ってことになったみたいで、人事課長も部屋を飛び出していって……」
「完全吸収っ!?」
「奈々!」
ああもう、この子は。大声に焦って周囲を見回すと、案の定パラパラと席についてる面々が、何事かとこちらを見ている。