宅配業者のお兄さんは前腕の血管が誰より浮き出ているので――フェチがバレたらなぜか激愛で囲い込まれました
いつもは自転車で通り過ぎる大通りの道沿いのカフェで、私はホイップクリームがたっぷりのったアイスラテを飲んでいた。
カウンター席に座る私の隣には、唐木さん――改め、恭輔さん。彼の手元にあるのは、大きなサイズの同じものだ。
あの日から彼に翻弄され続け、一か月。私たちは今日、正式に交際をスタートした。
今日は初めてのデートだ。
恭輔さんは甘いものが好きなようで、それを知った今は、あの日クッキーを渡したのは正解だったのだなと思う。
カウンター席に並んで座ると、どうしても隣の腕が気になってしまう。
そこに意識が集中してしまうのを誤魔化したくて、私は目の前の公道に目を向けた。
ふと、彼の職場とは違う宅配トラックが停車する。降りてきた男性の前腕は太くはあるものの、恭輔さんには敵わない。
どうやら私は恭輔さんの前腕を見なくても、すでに脳裏に再生できるほどになってしまったらしい。
そのことに気づいて、頬が緩んでしまう。
「由雁」
不意に、恭輔さんに頬を軽く指で突かれた。
彼を振り向くと、前腕をアピールするように私に見せつけてくる。
「他の男の前腕を見ていないで、俺のだけを見ていて」
そう言う彼の眉間に小さく皺が刻まれていて、私はくすりと笑ってしまった。
嫉妬しているのかな。かわいいな。
私は緩んだ頬のまま、彼に告げる。
「私は、恭輔さんの前腕だから好きなんです」
言いながら、見せつけられた前腕に軽く頬ずりをした。
今だって、あの男性の前腕を見てこの国宝級の前腕を思い返していたのだ。
すると、彼の腕は頬から逃げていく。
キョトンと見上げると、不敵な笑みを浮かべた恭輔さんと目が合った。
くいっと顎を持ち上げられる。そのまま、ちゅっと軽く彼の唇が私の唇に触れた。
それから、私の肩に腕を回し、耳元で告げる。
「俺は、由雁の全部が好きだよ」
ああ、もうダメだ。
今日も私は彼の前腕の中で、見事なノックアウトを食らうのだった。
【終】
カウンター席に座る私の隣には、唐木さん――改め、恭輔さん。彼の手元にあるのは、大きなサイズの同じものだ。
あの日から彼に翻弄され続け、一か月。私たちは今日、正式に交際をスタートした。
今日は初めてのデートだ。
恭輔さんは甘いものが好きなようで、それを知った今は、あの日クッキーを渡したのは正解だったのだなと思う。
カウンター席に並んで座ると、どうしても隣の腕が気になってしまう。
そこに意識が集中してしまうのを誤魔化したくて、私は目の前の公道に目を向けた。
ふと、彼の職場とは違う宅配トラックが停車する。降りてきた男性の前腕は太くはあるものの、恭輔さんには敵わない。
どうやら私は恭輔さんの前腕を見なくても、すでに脳裏に再生できるほどになってしまったらしい。
そのことに気づいて、頬が緩んでしまう。
「由雁」
不意に、恭輔さんに頬を軽く指で突かれた。
彼を振り向くと、前腕をアピールするように私に見せつけてくる。
「他の男の前腕を見ていないで、俺のだけを見ていて」
そう言う彼の眉間に小さく皺が刻まれていて、私はくすりと笑ってしまった。
嫉妬しているのかな。かわいいな。
私は緩んだ頬のまま、彼に告げる。
「私は、恭輔さんの前腕だから好きなんです」
言いながら、見せつけられた前腕に軽く頬ずりをした。
今だって、あの男性の前腕を見てこの国宝級の前腕を思い返していたのだ。
すると、彼の腕は頬から逃げていく。
キョトンと見上げると、不敵な笑みを浮かべた恭輔さんと目が合った。
くいっと顎を持ち上げられる。そのまま、ちゅっと軽く彼の唇が私の唇に触れた。
それから、私の肩に腕を回し、耳元で告げる。
「俺は、由雁の全部が好きだよ」
ああ、もうダメだ。
今日も私は彼の前腕の中で、見事なノックアウトを食らうのだった。
【終】


