愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

サロンを出てタバコを咥えると、背後から火が差し出される。

「蓮さん、お疲れ様でした」

「今までお疲れさん。約束の金は振り込んでおく」

「ありがとうございます。あの…卒業したら、蓮さんの元で働かせてください。お願いします」

こいつは、一つ言えば、10を理解する頭のキレる男だ。昨年の夏の旅行も、女を用意して行けと金を渡しただけ。その結果、思ってた以上
の成果を上げてくれた。

まぁ、その時の俺は、菜穂の気持ちに気がつかないまま、ただ、遼と菜穂の間にヒビでも入れたいと思っていただけ…無自覚だったわけだが、こいつは大いに役立ってくれた。

「…卒業まで遼を見張ってろ。話はそれからだ」

「任せてください。随時報告しますから」

尻尾があればぶんぶん振り回していそうな男に、フッ、と苦く笑う。
なぜか憎めない男。冷酷に突き放すつもりだったが、俺も甘いと笑ったのだ。

東の空がほんのり薄暗い。

男と別れ、少しの仮眠をとる為だけにタクシーがいる駅まで足早に歩いて行く。

朝、一つ仕事を終わらせて、菜穂がいる支店へ足を向けた。

から元気でなければいいがと、心配だったこともあるが、インテリア事業を本格的に始める為、店長と話をしにきたのだった。
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