愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
呼び出せばいいのにと、店長の鷹宮は疑わしい視線を向けてくるが、気がつかないふりを続けた。
話も終盤になり、菜穂が出勤してきた。
化粧で誤魔化しているが、顔は少し浮腫み、瞼が重そうだ。だが、表情は、すっきりとしているように見える。
割と元気そうな姿を見れてよかったと、打ち合わせが終われば、今日は、そのまま帰るつもりでいた。
それなのに、彼女は…
「失礼します。コーヒーです、よかったら飲んでください」
「あぁ、ありがとう」
鷹宮が受け取りにいき、俺にも一つ渡してきたその時。
「お話中、失礼します。お客様が店長にインテリアの事で相談したいとおしゃってます」
男のスタッフが菜穂の後ろに立っていた。鷹宮は、俺に視線を向けて「それでは、失礼します」とスタッフと売り場へ向かう。
「…えっと、それ、疲れてるのに、遅くまで付き合わせたお詫び」
俺の心を無意識に刺激してくる。
こんな可愛い気遣いをされて、黙って帰れないだろう。
「いらなかった?」
「瞼が少し腫れてるな。冷やさなかったのか?」
冷たい缶で瞼を冷やしてやる。
「きゃっ、冷たい」
「冷やしてやってるんだ。文句言うな」
「他のスタッフに見られるから、ねっ」