愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

真っ赤な顔で嫌がられても、悪戯心が動き腰を抱き込んでやる。

「ほら、自分で冷やしてろ」

空いた手で、彼女の髪を耳にかけてピアスごと耳朶をなぞれば、耳まで赤くなる。

赤く色づく耳はとても美味しそうだった。
意識されていることが嬉しいと思う。

「…写真で見るより似合ってる」

「…うん、私もそう思う。蓮も、そのネクタイ使ってくれてるんだね。でも上手に結べたね。何回目で結べたの?」

昨日のネクタイの件を持ち出して、生意気にも揶揄ってくるなんて、随分と余裕があるようだと思い鼻先を小突いていた。

「本気になれば一回でできる」

「へー、そうなんだ」

「信じてないな」

「信じてるよ」

クスクスと笑う菜穂。

俺が彼女を手に入れる為に企んだことだったと知らないままでいてほしい。

「元気ならいい。そうやって笑ってろ」

ずっと俺の側で笑っていてほしい。

「大丈夫だよ。今は、正社員目指して頑張るから、心配しないで」

この状況で鈍いにもほどがある。

「そっちか…バカ女。ここまで鈍いとはな」

「バカ女って、また言った」

「突っ込んでくるとこが、そこか⁈」

俺がこんなにアピールしているのに、わからないなんて…
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