愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

鈍いからこそ、遼の態度にも気がつかないでいたのかもしれない。

「なによ、そのため息」

「鈍すぎて、どうしてやろうかと思ってな」

見逃してやろうと思っていたのに、無自覚に煽ってきたお前が悪い。

先程、無性に喰んでしまいたかった耳。ピアスごと耳朶を喰んで、甘い味を味わう。

甘い香りと甘い肌が、俺を狂わせる。

首筋を唇で撫でて鎖骨まで辿っていく間、菜穂は口を押さえ、艶めかしくでる声を押さえているようだ。

はぁー、たまらない。

脳内が蕩けるようだ。
ふと、あるはずの場所にないネックレスにきがつく。

「ネックレスはどうした?」

「…しまって、ある」

「今度からはネックレスもつけてろ」

「えっ、でも」

ピアスと対のネックレスは、まだ恋人にもなっていない、なかなか会えない間の虫除けだ。

つけないというなら、他の方法を使うしかない。

「つけないなら、毎回、ここにキスマークをつけてやる」

首元に唇をつけて脅すつもりだけだった。

無理にでも剥がそうとするから、つい、軽く肌を吸った。

「わっ、わー。わかったから、やめて」

「悪い、もうついた」

小さく赤く咲いた痕は、所有欲の印。
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