愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

なかなかいいものだ。
いつか、この体の至る所につけて眺めたら、綺麗だろうとつけたばかりの痕をなぞった。

「何するのよ」

俺には容赦なく手をあげようとする。その気の強さにも惚れているのだから、叩かれたとしても褒美でしかない。まぁ、叩かれるつもりは今はないから、その手を握り指を絡め薬指に歯を立てた。

「…痛い」

壁をわざとノックする音。
無双している今、鷹宮の冷ややかな視線など眼中に入らない。

「虫除けだ。ここはそのうちな」

「副社長、仕事中ですよ」

痺れを切らした鷹宮が、キレ気味で言葉を発した。

「邪魔が入ったな。菜穂、ネックレス忘れるなよ」

鷹宮とドアですれ違う際、「お前、遊びじゃないだろうな?」低い声が、背筋を流れていく。

「本気だ」

心配するなというつもりで、鷹宮の肩を叩き、俺は本社へ戻った。

菜穂と会えるのは、仕事終わりの夜ばかり。タイミングが合わず、週に1、2度しかゆっくりと会えない。

その貴重な日の今日、食事を終えて菜穂を送ってきたが、まだ、別れ難く、車のロックをかけて菜穂を閉じ込める。

ドアノブをガチャガチャとし、開かないことに不機嫌になる菜穂。

どうやら、寂しいと感じているのは俺だけのようだ。
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