愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
「やめて」
「やめない」
甘い肌、甘い匂いが俺を狂わせる。
首元に唇を這わせていけば、小さく息を吐いてやり過ごそうと頑張る菜穂。
だが、今回は、気持ちを伝えた以上、菜穂との曖昧な関係は終わりにしたい。
「キスしたい」
触れそうで触れない距離で見つめ囁く。
「菜穂、キスして」
すると、菜穂は目を閉じて応えてくれた。
ずっと触れたかった唇。
理性なんてものは、ぶっ飛んでいく。
口内を隈なく味わいつくす。
菜穂の小さな舌と絡めあえば、背にしがみついて応えてくれる。
しばらく、興奮冷めぬまま、激しく口付けをかわしていた。そして、背にしがみついていた手が滑り落ちて、菜穂が力なくクタリとしだす。
夢中になり過ぎて、加減ができなかったようだ。
軽く唇を喰んだり、顔や頬にキスをして余韻に浸る。菜穂の唇が艶かしく腫れていて、このまま押し倒してしまいたかった。
「早く、俺を好きになれ」
抱くのはそれからだと自分に言い聞かせ、車のロックを解除した。
いつもなら、一緒に車を降りて菜穂を見送るのだが、流石に、今日の俺は降りられない。
「おやすみなさい」
運転席側に回る菜穂だったが、不満そうに唇を尖らせているから指先で呼ぶ。
そして、後頭部を掴み、チュッと唇にキスをした。
「おやすみ」
気恥ずかしげに頬を緩める菜穂に手を振り、俺は熱を鎮める為に車を走らせていく。