愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
学生達の長い夏休みが終わった頃、毎年恒例の[KZ]の慰安旅行が行われる。

あの日から、菜穂との逢瀬はないまま、仕事に追われる日々の中、メールで菜穂への愛を示してやり過ごしていた。

詰めに詰めて捻出できた時間は、彼女も参加する慰安旅行の二日間。

急遽、鷹宮に俺も参加の旨を伝えて、菜穂には何も伝えずに、集合場所へ。

驚かせたかった菜穂は、なぜか不機嫌に俺を睨んでいて、皆に囲まれているうちに、バスの中へ行ってしまった。

近頃のメールのやり取りで、少しは俺に気持ちが傾いている気がしたのだが、俺の勘違いだったのか?

バスに乗ると、菜穂の隣は既に埋まっていて一緒に座る事はできないようだ。

そのすぐ後方に銀縁メガネが見える。隣は誰も座りたがらないようで、俺はすかさず鷹宮の方へ足を向けた。

菜穂は、こちらを見ようともしない。

まったく、何に怒っているのか?

奥にいる鷹宮に席を入れ替われと、指を立て示すと、大きくため息をついた鷹宮が席を譲ってくれた。

座席の間の隙間からは菜穂の後ろ姿しか見えない。

(会いたかった)

彼女にメールを送る。
だが、返信が返ってこない。振り向きもしない。
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