愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
そこへ、一本の電話が鳴った。
例の男からだ。
仕事の電話と嘘をつき、ぬけ出す。
「どうした?」
話の内容は、遼が、有り金をかき集めて、チンピラを雇ったという。どうやら、俺に仕返しをするつもりでいるようだ。ついでに菜穂を襲う計画まであるという。
ふざけるな。
俺だけならまだ許してやったかもしれない。
だが、俺の女に手を出そうとするなら、容赦はしない。
男に、お礼を伝え、何かあれば連絡するように伝えた。
その後、俺は、一本の電話をかけた。
桐谷家が、三代で、なぜ、ここまで大きくなったのかは、それなりの理由がある。
表立っては知られていない。裏社会を生きる男達と、縁があるからだ。
「桐谷の次男坊か?」
「えぇ、お久しぶりです」
「急の電話は、何か頼みがあるのか?」
「お察しの通りです。小鳥遊 遼を戻って来られないよう中国へでも飛ばしてもらえませんか?」
「砂金堀りさせるつもりか?」
一度、そこへ送られたら、死ぬまで掘り続けるしかない過酷な場所だ。
曽祖父が戦時中、怪我をしていた相手を庇って殉死してしまった。だが、その男は仁義ある裏の男で、当時幼かった祖父を見つけ、養父として援助してきた。